吹け風よ
愛する人を迎えに舟でクルゼメ州へ向かう男を歌った古代リーヴ人の結婚式の歌は、ラトビア人の国民的象徴にして、アイデンティティの表現となっています。アンドレイス・ユルヤーンスが編曲した四部合唱曲の旋律は、一世紀以上にわたり連帯と抵抗の役割を果たして、弾圧時代には禁止された国歌の代わりに演奏されることもありました。歌詞は一見、ラトビア人にとって好ましくない特性をさりげなく表しているかと思いきや、歴史がそこに秘めている解釈、つまり自然に頼り、風の力で目標に向かって、挑戦を恐れずに、困難を克服することを示唆しています。この曲の歌詞には、何世紀にもわたる抑圧が伺えながらも、ラトビア人が独立して自分の志を守り行動を取ることと、自分の運命を導くことが強調されています。
吹け風よ 我が舟
目指すは クルゼメ
クルゼメの 母さんに
許婚 貰おう
娘の 母さん言う
酒飲みゃ やれぬ
馬泥棒 飲んだくれ
濡れ衣を 着せらる
どこ酒を 飲み逃げ
どの馬を 盗んだか
自腹で 酒飲み
自らの 馬乗る
吹け風よ 我が舟
目指すは クルゼメ